【例文付】大学受験小論文800字の書き方|構成とテクニックを解説

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大学受験の小論文、「どう書けばいいの?」とペンが止まってしまう。そんな悩みを抱えていませんか。

何を隠そう、私も受験生のときは、小論文の書き方がわからず、何度も書き直しては添削を受ける毎日でした。特に800字という絶妙な文字数の中で、自分の考えをどう整理し、どう伝えれば評価されるのか、頭を抱えた経験は一度や二度ではありません。

しかし、安心してください。実は、合格する小論文には普遍的な「型」が存在します。この型を理解し、効果的な書き方を身につければ、あなたの文章力は短期間で飛躍的に向上します。

この記事では、大学受験で求められる小論文の基本から、すぐに使える800字の例文まで、あなたの疑問と不安を解消するすべてを詰め込みました。

目次

小論文の基本構成と800字の使い方

小論文成功の鍵は、準備、特に「構成」にあります。優れた構成は、あなたの思考を明確にし、採点者に論理的な印象を与えます。

小論文の「型」をマスターしよう

小論文で最も広く使われ、分かりやすい構成が「起承転結」です。800字という文字数を最大限に活かすには、この4つのパートにバランス良く文字を配分することが重要になります。

また、大学によっては「序論-本論-結論」という構成が指定されることもあります。基本的には同じ考え方で対応できるので、下の表で関係性を確認しておきましょう。

▼ 小論文の構成パターンの比較表

起承転結役割序論-本論-結論
問題提起・現状の提示序論
問題の深掘り・具体例①本論
新たな視点・具体例②本論
全体の要約・自身の主張結論

基本は同じだと分かれば、どんなお題にも自信を持って取り組めますね。では、各パートの書き方を具体的に見ていきましょう。

「起」の書き方 – 最初の150字で印象を決める

「起」は小論文の顔。ここで採点者の心を掴めるかが勝負の分かれ目です。

テーマに関する社会的な背景や問題提起を簡潔に述べ、読み手の関心を引きつけましょう。例えば「環境問題」がテーマなら、「近年、地球温暖化による異常気象が世界各地で頻発している。

日本においても、その影響は年々深刻さを増しているのではないだろうか」といった書き出しで、これから論じるテーマを明確に提示します。

「承」の書き方 – 250字で論点を展開

「承」では、「起」で提示した問題の具体的な状況や原因を深掘りします。

ここで説得力を持たせる秘訣は、客観的なデータや事例を盛り込むことです。「環境省の調査によれば」「国連の報告書では」といった根拠を示すことで、あなたの主張が単なる感想ではなく、事実に基づいた考察であることをアピールできます。

抽象的な言葉を避け、具体性で勝負しましょう。

「転」の書き方 – 250字で視点を広げる

「転」は、あなたの思考の深さを示す最大のチャンスです。

「承」で述べた内容を、異なる角度から見てみましょう。「しかし、個人の努力だけでは限界があるのではないか」と切り出し、社会システムや国際協力の必要性へと議論を展開させることで、多角的な視野を持つことを示せます。

多くの受験生が単一の視点で終始する中、この「転」で一歩踏み込んだ考察ができれば、評価は格段に上がります。

「結」の書き方 – 最後の150字で印象づける

「結」は、小論文の締めくくりです。これまでの「起承転」の議論をすべて受け止め、最終的なあなたの意見や解決策を力強く提示します。

ここで最も重要なのは、主張の一貫性です。突然、今までの文脈と関係ない話を持ち出すのは厳禁。「起」で提示した問題に、あなたなりの答えを出す形で締めくくりましょう。

未来に向けた前向きな展望を示すと、さらに好印象です。

合格する小論文の書き方テクニック

構成の骨格が固まったら、次は文章に魂を吹き込むテクニックです。

高評価を得る小論文に共通する「説得力」「論理性」「独自性」の3要素を、あなたの文章に加えるための具体的な方法を紹介します。

説得力を高める具体例の使い方

抽象的な主張は、誰の心にも響きません。具体例こそが、あなたの主張に命を吹き込みます。

▼ 表現方法による説得力の比較

抽象的な表現(評価が低い例)具体的な表現(評価が高い例)
環境問題は深刻である。2023年の調査では、日本の平均気温は100年前と比較して1.26度上昇し、その影響で農作物の収穫量が減少している地域もある。

このように、具体的な数字や事実を引用することで、文章の説得力は劇的に向上します。信頼できる情報源からの引用を心がけましょう。

論理性を高める接続詞の活用法

論理的な文章とは、文と文、段落と段落がスムーズにつながっている文章です。その潤滑油の役割を果たすのが「接続詞」です。

例えば、原因を述べるときは「なぜなら」、結果を導くときは「したがって」、話を転換させるときは「しかし」「一方で」といった接続詞を効果的に使いましょう。

特に各段落の冒頭に適切な接続詞を置くことを意識するだけで、読み手はあなたの思考の道筋を迷うことなく辿れるようになります。

独自性を出す効果的な表現方法

入試では、何百、何千という小論文が採点されます。その中で埋もれないためには「独自性」が不可欠です。

独自性とは、奇抜な意見を言うことではありません。あなた自身の体験や、本を読んで得た知識などを、テーマと結びつけて論じることです。例えば、環境問題について論じる際に、地域の清掃ボランティアに参加した経験から感じたことを盛り込めば、それはあなたにしか書けない、血の通った小論文になります。

個人的な経験と客観的な視点のバランスを意識することが、質の高い独自性につながります。

小論文の例文と解説(800字)

それでは、ここまでのテクニックをすべて盛り込んだ800字の例文を見ていきましょう。

構成や表現技法に注目しながら読むと、理解がさらに深まります。

例文:「情報社会における個人の責任」

【起】

スマートフォンやSNSの普及により、誰もが容易に情報を発信・受信できる時代となった。

総務省の調査によれば、日本のSNS利用率は近年8割を超え、特に若年層ではそのほとんどが日常的に利用している。

このような情報社会の恩恵を享受する一方で、私たち個人はどのような責任を負うべきなのだろうか。

【承】

情報社会における第一の責任は、情報の真偽を見極め、適切に活用する能力、すなわち「情報リテラシー」の習得である。近年、SNS上でのフェイクニュースや誤情報の拡散が深刻な社会問題となっている。

実際、国内外の選挙において、候補者に関する虚偽情報がSNSで拡散され、結果に影響を与えたとされる事例も報告されている。こうした事態を防ぐには、受け取った情報を鵜呑みにせず、複数の情報源から確認する習慣が不可欠だ。

また、自らが情報を発信する際も、その影響力を自覚し、責任ある言動を心がける必要がある。

【転】

しかし、情報リテラシーの習得だけで個人の責任が果たされるわけではない。

情報社会においては、「デジタル・シチズンシップ」という、より積極的な概念が重要となる。これはデジタル社会の一員として、倫理的に行動する態度や能力を指す。具体的には、他者のプライバシーや著作権を尊重し、ネット上の対話でも礼節を保つことだ。

例えば、匿名性に隠れたSNSでの誹謗中傷は、被害者に深刻な精神的苦痛を与えるだけでなく、加害者自身も法的な責任を問われるリスクを負う。現実社会と同様の倫理観が、デジタル空間でも求められているのだ。

【結】

情報社会における個人の責任とは、情報リテラシーを土台とし、デジタル・シチズンシップを実践することに他ならない。

これらは学校教育のみならず、生涯を通じて学び続けるべき課題である。私たち一人ひとりが情報の受信者、そして発信者としての責任を自覚し、賢明に行動することで、より健全で豊かな情報社会を築くことができるだろう。

技術がいかに進化しても、その中心にいるのは常に「人」であることを忘れてはならない。

例文の解説ポイント

この例文は、合格小論文の要素をふんだんに盛り込んでいます。「起」でデータを示しつつ問題を提起し、「承」で情報リテラシーの重要性を具体例と共に解説。

「転」ではデジタル・シチズンシップという新たな視点を導入して議論を深め、「結」で全体をまとめて未来への展望を示しています。

接続詞「しかし」「また」「このように」が、論理展開をスムーズにしている点も参考にしてください。

小論文で失敗しないための注意点

最後に、多くの受験生が陥りがちな失敗パターンと、本番で実力を発揮するための準備についてお伝えします。

これを意識するだけで、あなたの小論文は確実に安定します。

よくある失敗パターンと対策

小論文で最も避けたい失敗は、「主張の曖昧さ」と「論理の矛盾」です。自信のない表現は、あなたの意見の価値を下げてしまいます。

▼ 表現による印象の違い

弱い表現(自信がなさそう)断定的な表現(説得力がある)
〜だと思います。〜かもしれません。〜である。〜と考える。〜に他ならない。

意見を述べる際は、上のように断定的な表現を使い、自信を持って主張しましょう。

また、文章全体を通して主張に一貫性を持たせることも重要です。書き終えたら必ず読み返し、「主張は明確か」「論理は通っているか」「誤字脱字はないか」の3点をチェックする習慣をつけましょう。

試験本番での時間配分と精神的準備

800字の小論文に与えられる時間は、多くの場合60分程度です。

理想的な時間配分は、「構想15分、執筆35分、見直し10分」。焦って書き始めるのではなく、最初の構想時間でしっかりとした設計図を描くことが、結果的に質の高い文章を時間内に書き上げるコツです。

試験本番では誰でも緊張します。もし頭が真っ白になったら、一度ペンを置き、深呼吸をしてください。「これは自分を試すテストではなく、自分の考えを伝えるチャンスだ」と前向きに捉えることで、心に余裕が生まれ、自然な文章が書けるようになります。

まとめ:小論文力は継続的な練習で必ず向上する

小論文は、一部の才能ある人だけが書けるものではありません。正しい型を学び、継続的に書く練習をすれば、誰でも必ず上達するスキルです。

この記事で紹介した構成やテクニックを武器に、ぜひ何度も書く練習に挑戦してください。書いた文章を学校の先生や塾の講師に添削してもらえば、客観的な視点が得られ、さらに成長が加速します。

小論文で培った論理的思考力や表現力は、大学でのレポート作成や、社会に出てからも一生役立つ財産になります。あなたの努力は、合格だけでなく、その先の未来にもつながっています。

自信を持って、小論文という対話を楽しんでください。

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